歪んだ線を引きながら

 
頬を叩かれる感触がする。身を捩っても止まらない暴力にわたしは呻き声をあげた。
「…さん、おねいさん!」
「ごめん、放っておいて、ふて寝してるだけだから」
「ああもうっ!起きておくれったらおねいさん!!」
痺れを切らしたのだろう、今度は全身を強く揺すられてようやく目を開ければ、そこには見知った顔があった。優しい青。包み込むような眼差し。ああ、よかった、心地良い声。これは夢?都合の良いことだ。恐る恐る目の前の人の頬に触れると、ぺた、と柔らかい感触。

「……アラジン?」
「ああ気が付いて良かった!君はおねいさん…なのかい?」
「ええそうですとも、…そちらはアラジン?」
「そうだよ、久しぶりだね!再会出来て嬉しいよ!」

久しぶりに会うアラジンはこちらに両手を伸ばし、嬉しそうに顔を綻ばせた後、戸惑ったように視線をわたしの胸元に彷徨わせた。一体どうしたのだ、首を傾げてみせてもどこか呆然としている。
伸ばされたままのアラジンの手を借りてどうにか上半身を起こすと、わらわらと周囲に人が集まってきた。突然のことに驚いて身を引くと、後ろの人にぶつかり慌てて謝罪をする。見知らぬ隣人は、わたしを見て、気が付いて良かったですね、と疲れた顔で笑った。改めて室内を見渡すと、自分のいる部屋の人口密度の高さに再び驚愕した。薄暗い部屋に焚かれた松明が、無機質な壁にゆらりと影を踊らせている。それ以外に射し込む明かりはなく、清潔感に欠けた饐えた臭いには覚えがあった。状況を把握するために体を動かすと、あちらこちらが痛む。この固い石畳の上で、どれだけ意識を失っていたのだろう。
「坊主、お前の知り合いだったのか?」
「うん、前に話した面白いおねいさんだったよ」
アラジンは一体何を言ったのだろう。「ああ、あの!」「へえ、こいつが例の…」などとあちこちで声が上がる。沸き上がる不安を余所に、アラジンの背後にいる人々の視線が一斉にわたしの胸元に注がれた。
「…どう見ても坊主にしか見えんなぁ」
「そうだな」
すると何度も目をぱちくりせながらアラジンが深刻そうな面持ちで言う。
「しばらく会わないうちに…ずいぶんと、ねえ、君のお胸は一体どこへ行ってしまったんだい?」

感動の再会だというのに、まずはこの失礼な連中をどうするべきか、本気で頭を抱えたくなった。



* * *



「へえ、なるほど、それでおねい…じゃなかったおにいさんは今は男の人なんだね」
「そう、アリババくんにもお墨付きをもらったし、なかなか板に付いているでしょう?」
かいつまんで理由を説明すると、アラジンは少し不満気に口を尖らせながら渋々納得してくれた。後ろの強面の男達も女の一人旅は危ないからなぁなどと言って頷く。この話をする度に微妙な反応が返ってくることには慣れていたが、アラジンのようにあからさまに不快な態度を露わにする人は初めてだった。
「なんでアラジンは不満そうなのかな?」
「だって、前から心配だった君の寂しいお胸が、さらに可哀相なことになっているじゃないか」
「は?」
だから大きくならないんじゃないのかい?と失礼なことまで言う始末。絶句した。なんて末恐ろしい子だろう。案の定、アラジンの無邪気な暴言によって周囲は爆笑の渦に包まれた。
「おいアラジン、そりゃねえぜ!」
「し、失礼なやつだな…ぶっ」
「本人も気にしてるだろうからあんまり言ってやるな」
「でも気持ちはわかる…」

まったく失礼なのはあなた達だよ!わたしは膝を抱えてうずくまった。
例えわたしの胸が絶壁でも誰も困らないのだから放っておいて欲しい、と言うと、周囲は殊更不憫な目でわたしを見た。大切なのか外見じゃない、心だ。人一倍強面の男に力強く肩を叩かれ、衝撃で咽せた。体中ではなく、心まで痛い。同士を見るような目でこちらを見ないで欲しい。

「それでおにいさんはどうしてこんなところにいるんだい?」
言われて自分の足下を見れば、懐かしい感触がする。拘束された足を動かすと、じゃらじゃらと鎖が揺れた。同様に繋がれた両手の鎖の端の方を目線の高さまで持ち上げてみて、その重みを実感する。懐かしい、と思えるほど時間は経っておらず、感慨深い思いは一切芽生えない。ままならない感情の代わりにじゃらり、じゃらり、と鉄と鉄を擦り合わせ、嘆息した。
「ああ、また奴隷になっちゃったね」
あの夜、老人はわたしを奴隷商人に売った。日が昇りかけた空の下、消えかけた月と石の塊になった女神像だけが一部始終を見ていた。老人は最後まで謝罪の言葉を口にせず、わたしは瞬きすらせずにずっと老人を見ていたが、彼は一度も目を合わせようとしなかった。しかし、どこかでその行為に安心した。もしあの時、老人が何かを口にしていたとしたらここにはいなかっただろう。合意のうえで、そうしたのだから後悔はしていない。後悔だとか謝罪だなんて我慢がならなかった。
「大丈夫かい?」
「うん、大丈夫、ありがとう。そう言えば、アラジンもどうしてここに?」
「僕もお世話になってるキャラバンの皆と捕まってしまったのさ」
あの失礼な男達はキャラバンの仲間らしい。これから売られる身だというのに彼らは呑気な様子で口々に挨拶をしてきた。まったく参ったね、と言うアラジンも事の重大さがわかっていないのか、ちっとも参っているようには見えなかった。心強さと、一抹の不安を抱えながら、そもそもマギであるアラジンがどうして捕まっているのか不思議でならない。
おにいさんは一人なのかい?」
「実はモルジアナ…君が助けてくれた赤毛の女の子と一緒に旅をしていたんだけどね…」
「赤毛のおねいさんもいるのかい?!」
「いや、捕まったのは僕だけなんだ。アラジンはもしかしてアリババくんを捜しているの?」
モルジアナはどうしているだろう。あれからどれだけの時間が経ったのか。今頃、わたしが戻らないことを不審に思って必死に探し回っているに違いない。少し頭を冷やそうとしただけで、ここまで心配をかけるつもりはなかったのだ。あまり気を揉んでいなければ良いのだけれど、心の中で謝罪をしながら、どうにか無事を伝える術はないだろうか、と思案する。胸を張って無事だ、と言える状況ではないけれど。考えてみれば最悪のタイミングで売られてしまったものだ。
「そうだよ、チーシャンにはもうアリババくんはいなかったからね、会いにいく途中さ。うっかりこんなところで捕まってしまったけどね」
呑気に笑うアラジンの背後に、不安そうなアリババくんの顔が見えた気がした。行き先を聞かなかったので力になれそうにはないけれど、アラジンならきっと彼の元へ辿りつけるのだろうという確信めいたものがある。
「チーシャンでアリババくんに会ったけど、ずっと君のことを心配して待っていたんだよ。それでも待っているのは性に合わないから、先に故郷にやり残したことを精算しに帰るって言っていたっけ」
「わあ、おにいさんはアリババくんと再会していたんだね!元気だったかい?」
「それはもう」
「それを聞いて安心したよ。気が付いたら一人知らないところにいて不安だったんだ。戻ってくるまでにこんなに時間が経ってしまったし、一人で旅をしている間も一緒に迷宮をしたことが懐かしくって、ああ、早くアリババくんにも会いたいな。今頃何をしているのかなあ。
てっきりおにいさんもアリババくんを追いかけているのかと思ったのだけど、違うのかい?」
「いや、僕は一時的にモルジアナの旅に同行しているだけ。故郷の暗黒大陸に帰る為に大きな港街を目指しているのだけれど…もしかしてアリババくんの故郷も同じ方面なのかな?」
今度はアラジンが首を傾げる番だった。
「知らなかったのかい?それならきっと僕たちの行き先は同じ筈だよ。この辺りで大きな港街がある国っていったらバルバッドだからね。アリババくんの故郷はそこなのさ…ええと、ほんとうに知らなかったの?」
「あらまあ」
呆けたわたしはからくり人形のようにかくんと頷いた。まさか目指す先がアリババくんの故郷だとは寝耳に水だった。「おかしいな、アリババくんが故郷の話をしていたときに、君も隣にいたじゃないか」とアラジンが首を傾げていようが初耳だった。なんだ、思っていたよりも早くに再会しそうな予感がする。なかなか真面目にお別れしたつもりだったのにな。
「ねぇバルバッドまで一緒に行こうよ!」
「…うん、それは構わないのだけど、今はお互い囚われの身だからね、先ずはこの状況をなんとかしないと」
手にした鎖を掲げてみせると、アラジンは今まで忘れていた、と眉を下げた。この劣悪な環境でどうして忘れられるのだろう。生気なく打ちひしがれる周囲に対して、彼には全く恐怖や畏怖の念は無く、状況さえ理解していないように見えた。
陰気な室内にそぐわぬ存在が自然に溶け込んでいることに違和感を覚えながら、どこにいてもアラジンの周りは温かいことを思い出していた。
彼はマギだから、という答えがしっくりくる。正直、マギとはどういうものなのか良く分からない。けれども、人々に希望を与える存在なのだとしたら。そうであって欲しい、と思いながら。
何故なら、ルフ達はアラジンの存在に応えるように光を与え続けているのだから。

眩しいな、と思う。
薄暗い闇に包まれているにも関わらず、アラジンの存在を明確に感じることが出来る。目を細めて少年を見た。
わたしはどうだろうか、今でも眩しいものに憧れて、焦がれているのだろうか。

繋がれた鎖から手を離すと嫌な音を立てて床に落ち、見慣れたそれはわたしとアラジンの間に線を引いた。

その時だった。
固く閉ざされた扉がを大きな音を立てて崩れ墜ち、室内に新鮮な風と光が射し込む。
わたしはその音に思わず全身を強張らせ、驚きで顔を上げる面々と、目の前のアラジンが振り返った先にゆっくりと視線を上げた。
眩しい地上の光に再び目を細めなくてはならない。何事だ、とざわめく周囲を伺うようにアラジンが立ち上がり「大丈夫、様子を見てくる」と人の波をかき分けるようにその先へ消えていった後ろ姿を呆然と見送る。歓喜の声が耳の端に届き、どうやら助けが来たらしいとわかると、ようやく体中の力を抜いて安堵した。知らぬ間に握られた拳を開くと掌には食い込んだ爪の後がくっきりと残っていた。それから直ぐに「坊主、もう大丈夫だぞ」と大きな手が鎖の鍵をその手の中に落とし、おまけとばかりに力強く肩を叩かれ、衝撃に前のめりになった。もう少し体を鍛えた方がいいなと笑われて曖昧に頷いておく。
爪痕と、鍵と、思わぬ肩の痛みに思考を行ったり来たりさせるのに忙しかった。

さん…?!貴方までどうしてここに」

見知った声に再び視線を上げると、アラジンの横には見下ろすようにしてモルジアナが立っていた。
「モルジアナもどうしてここに?」

どうしてだろうね、お互い首を傾げた。





「僕を売った老人はどうした?」

モルジアナとアラジンのジンによって助け出された人々はようやく落ち着きを取り戻し、商人達を脅かし続けた盗賊騒動も、その後遅れて助けに来たキャラバンの仲間達と用心棒達に拘束され一応の収束を見た。盗賊達に混ざり、廃人のように項垂れる奴隷商は惨めな有り様だった。昨晩よりも丸みを帯びた月が騒動の一部始終を見下ろし、離れたところでアラジンやモルジアナ達の声が聞こえる。
「知らないわよ、あんな死に損ないの爺なんて!奴隷にも使えやしないから捨て置いてきたわ」
身綺麗に整えられていた髪も衣服もとっくに煤け、化粧は剥がれ墜ち、屈辱に歪んだ唇は呪詛のように罵りの言葉を紡いだ。どうしてこうなってしまったの、男の癖に独特の口調は耳に障るだけで、しかしそんなことを言ったら女の癖に男の格好をしている自分はどうなのだろうと複雑な気持ちになった。少し前のアラジンの反応を思い出して肩を落とす。
「大体あんたも変な奴ね、自分を売った奴のことを一々確認するなんて。あらやだ、もしかして復讐でもしようって魂胆なの?」
「復讐…?」
乾いた笑みが零れた。
不愉快な甲高い声で狂ったように嗤う男は全てを失っても尚、プライドの高さだけはここにいる誰よりも勝っているらしく、そのプライドが今置かれている全ての状況を許せる筈がなかった。しかし、わたしを嗤ってみたところで状況が変わるわけでも、飢えた欲求を満たせやしないのだ。
「何よ、その目は!あんただって碌な人間じゃないだろ。醜い奴隷の癖に!あたしはただ自分の欲求に正直にやってきただけよ、何が悪いっていうのよ!…何よその手は」
男の目の前に突き出した手を、噛み付きそうな鋭い目で睨まれる。剥き出しの敵意はいっそ心地が良い。沢山の人間を鎖で縛った当人の腕に絡みついている縄が皮肉のように映る。この縄で男の歪んだ矜持も縛れたらいいのに。
「何って、お金。あなたのことなんでまったく興味も沸かないけれど、曲がりなりにも商人だというのなら、ちゃんと払うものは払ってもらわないと。どこにあるの?お爺さんに支払うはずだったお金。僕の価値が詰まった金だよ。あなたのことだ、どうせ払ってなんかいないんでしょう?」
「はあ?!あんた何言ってるの?この状況みてわからないわけ?とんだ愚か者…」
「うるさいな、あなたの状況なんてどうでもいいって言ってるでしょう。早くしてくれる」
「何よその目は…なんであんたなんかにこんな…」
乱暴に胸ぐらを掴み上げて持ち上げる。柄にもなく苛ついている。何時からだろう、こんな風に誰かを傷つけることが出来るようになったのは。両親が知ったらきっと悲しむのだろうな、と思う。だけど二人だって分かってくれる筈よ、頭の何処かで都合の良いことを考えながら、一方で、言い訳も懺悔も最早手遅れだ、と自嘲した。
「ねえ、知ってる?歪んでしまったモノを正す方法。やり直しがきくんだって思い上がっているなら一度死んでみるといいよ。とても、苦しいことだと思うけど」
不意打ちに刮目した男の顔を至近距離で眺めると胸焼けがした。別にこの人のことをどうしたって何も晴れやしないけど。理性に反して空いている方の手が物々しく動く。それを理解できる位には冷静だった。手にした小刀を心臓に突き刺したいのだ。それで死ぬことが出来るのか、試してみたい。心臓が止まるのかどうか、この心を止めることができるのかどうか。わたしは、知りたいのだ。あの頃のように、震えたりはしない。急かすように掴む腕に力が篭めると、男は苦痛の表情を浮かべ、わたしはその耳元に唇を寄せた。
愚かな貴方は、吐き気がするほどわたしと同じ
目前に突き出された手の意図するものを理解すると、男が情けなく呻いた。

「ねえ、早く」

まるで恋人達の語り合いのように、実際に焦がれたのは互いの破滅だった。




おにいさん、一体どこへ行くんだい?!」

何事かと周囲が遠巻きで眺める中、アラジンがモルジアナ達を引き連れて駆け寄ってきた。背後ではまだ奴隷商の男が地に平伏しながらも「この悪魔!」「ふざけるな!薄汚いハイエナ風情が!」「お前だってお金が欲しかったんだろ!」「所詮はあたしと同類のくせに!」狂ったように声を荒げ続けている。その鬼気迫る奇行に皆が眉を潜め、近づこうとしなかった。罵声を浴びせられている少年――わたしは我関せずの様子で素早くその場を離れ、そのままアラジンやキャラバンの仲間の元に戻るのかと思いきや、全く別の方向に向かったのだから、首を傾げるのも無理はない。

「ごめん、ちょっと忘れ物を持ち主に届けにいってくる」

重いのかも軽いのかもわからない、自分の価値が詰まった袋を手中に納め、柄にもなく少し焦っていた。あの夜よりも満月が近づいていた。つまりそれだけ時間が経っていた。今でなくてはならないかもしれない、明日にはもう遅いかもしれない。後悔は許されないことだと言われた。その通りだと思ったから、だから不安要素は先に摘んでしまえば良い。
「届けるって言ったってどこにどうやって…」
驚いて一歩前に出た少女の名はライラという。砂漠で倒れていたわたしを助けてくれたキャラバンの中でも若くて有望な稼ぎ手だ。ライラの横で心配そうにサアサという同じくキャラバンの将来有望な美少女が控えていた。彼女達はわたし達の不在にいてもたってもいられずに盗賊討伐組にしがみついてきたという。まったく無茶をするな、と呆れたが、わたしも大概馬鹿なことをする。聞くところによると二人はアラジンと顔見知りらしく、昔彼に助けられたことがあるらしい。
「運命って面白いね、こうやって君を中心に皆が引き寄せられる」
わたしの呟きは誰にも理解されることなく、困惑気味のアラジンをそっとモルジアナの方に押しやって、懐から小さな笛を取り出した。アラジンのそれとは異なる小さな笛を、深呼吸をしてから思いっきり吹くと、皆の予想に反してそこから音は紡がれなかった。
さん…?」
やはり困惑気味のモルジアナを制して、耳を澄ませる。
この笛はね、人の耳には聞こえない音を奏でる。聴覚の優れたモルジアナには聴こえるのかもしれない。
それは風のような速さと、春初の流水のようなしなやかさでやってきた。
相変わらず抜群のスピードとタイミングは流石だな、と感心していると「敵!?」「皆さん下がって!」周囲の空気が一瞬で警戒態勢に入ったので慌てて前に出た。

「あ、ごめん!違うの、この子は僕が呼んだんだ」

音もなくわたしの足下へ降り立った大きな獣は、辺りを一瞥すると不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「デカっ!」誰かが驚き、優に成人男性2人分はあるその身体は、確かに見る者を圧倒させた。月光の中から生まれたような銀糸の毛並みは、そよぐ度に他の獣達とは異なる妖艶な輝きを放ち、剥き出しの象牙の如き刃は何者も寄せ付けない鋭さを持つ。何よりも存在自体から香り立つように溢れる覇色に、怯えた駱駝達が騒ぎ始めた。それは立派な風格の砂漠オオカミだった。
周囲の反応に苛立たしげに呻れば地鳴りのように響き渡り、空気がぴんと張りつめた。
これは予想以上にへそを曲げているなと内心冷や汗を掻く。

「紹介が遅れたけど、この子が噂の相棒です。って説明は後でするから!」

それでも不満そうな相棒の鼻頭を数回撫でると、観念したのか呆れたのか頭をぐっと下げ、わたしはその背中に飛び乗った。
「あ、え?ちょっと!」
現れた時と同じように地面を蹴ると、砂埃が風に舞い、素晴らしい跳躍力と脚力で造作もなく崖を駆け上り、あっという間にアラジン達が見えなくなった。


2013.03.03. up.



BACK TOP NEXT